ゴーレム効果

ゴーレム効果(Golem Effect)とは特定の人物が周囲に期待されていない場合、能力があっても周囲の考えたとおりに期待できない結果を残してしまう心理効果です。

ゴーレムは神話に出てくる泥でできたあやつり人形ですが、額の文字を消すと泥に戻ってしまうことから、周囲の影響で能力を発揮できない意味として引用されています。

反対に周囲の期待が高いと能力以上の働きをする効果は、ピグマリオン効果と呼ばれています。

ゴーレム効果の実験

ゴーレム効果のもっともわかりやすい例は学校などの教育の場です。

1966年に心理学者のローゼンタール博士が学生を対象に次の実験を行いました。

生徒に知能テストを行って成績の良いクラスと、悪いクラスにふりわけます。

成績の良いクラスの教師には成績が悪かったと伝え、成績が悪いクラスの教師に成績が良かったと反対の結果を伝えます。

反対の結果を信じた教師達が指導を続けた結果、教師の期待度と比例する成績となり(クラスの成績が逆転)、ゴーレム効果が証明されました。

ゴーレム効果の影響

ゴーレム効果は学校だけでなく部下を育てる上司、子供を育てる親の立場でも起こります。

部下の業績を上げることは上司にとっても大きなメリットになりますが、何気なく部下に対して期待していないような言葉を漏らしただけで、ゴーレム効果が発生する可能性が高くなります。

ゴーレム効果を発生させないためにも、意識して部下に対しては期待しているという発言をしましょう。

ただし、部下の性格によっては期待されすぎるとプレッシャーを感じる人もいます。

その点は臨機応変に部下の性格に応じて、ときにはゴーレム効果だけを避けて何もいわずに部下の技量にまかせることも必要です。

また、子供は敏感に親に期待されているかいないかを感じてしまいます。

そのため親は子供に対して期待しているということをハッキリと言葉にしていいましょう。

相手が子供の場合は素直にほめてあげて期待していることを伝える方が効果はあります。

職場でのゴーレム効果対策

ゴーレム効果が発生することは企業にとっても社員の士気を下げ、業績が下がることにつながるので避ける必要があります。

上司は以下の点に気を付けることでゴーレム効果を避けて指導しましょう。

部下が失敗したときに指導するのは当然ですが、ネガティブな評価ばかりをしてしまうと、ゴーレム効果によって部下は悪循環に陥ってしまいます。

部下のミスを指摘した上でどうすれば改善できるのかを指導した上で、「君ならできる」と期待する言葉を換えましょう。

否定的な言葉で終わるよりは部下の発奮が期待できます。