置換バイアス

置換バイアスとは、複雑な計算が必要とされる場合に、より直感的な計算方法に置き換えてしまう心理です。

置換バイアスは属性置換とも呼ばれていて、英語ではAttribute Substitutionと言います。

たとえば以下の計算問題があります。

「バットとボールを合わせると1.1ドルです。バットの方がボールより1ドル高い。ボールはいくらですか?」

ほとんどの人は直感的に1.1ドルから1ドル引いて0.1ドル(10セント)と計算してしまいますが、正解は以下の計算で求められます。

バットの価格をBT、ボールの価格をBLとします。

  • BT+BL=1.1・・・バットとボールの合計は1.1ドル
  • BT-BL=1・・・・バットはボールよりも1ドル高い

上記の式を変形するとBT=1.1-BLとBT=BL+1となります。

左右の値が同じなので、さらに1.1-BL=BL+1となり、それを計算すると2BL=0.1でボールの価格は0.1/2=1/20ドル(5セント)です。

バットの価格は1.1-0.05=1.05ドルで、合計すると1.1ドルでボールの0.05よりも1ドル高いので正解だとわかります。

一方で、感覚的にボールを0.1ドルと計算した場合は、バットの価格を1ドルと考えたことになります。

その場合、合計金額の1.1ドルという計算は成り立ちますが、バットがボールよりも1ドル高いという計算が成り立たず(1-0.1=0.9)0.9ドル高くなるので不正解です。

この間違いが起こるのは、合計金額の計算が合っているため、もうひとつの条件である1ドル高いという確認を省略してしまったためです。

計算や論理的思考が苦手な人が多いことが、置換バイアスが発生する原因のひとつと言えるでしょう。