対応バイアス

対応バイアス(Correspondence Bias)は、外部的な要因を考慮せずに人の行動の結果をその人の内部(性格など)に原因を求めてしまう心理のことです。

「基本的な帰属の誤り」とも呼ばれています。

出来事や行動の原因を何かに求める心理を帰属バイアスと呼んでいますが、対応バイアスも帰属バイアスのひとつになります。

たとえば、遅刻した人のことを、それだけでルーズな性格と判断するのも対応バイアスのひとつです。

遅刻した理由にはその人の性格には関係のない不可抗力、電車が大幅に遅れたなどの外的要因も十分考えられますが、それらをまったく無視していることになります。

対応バイアスと正反対に自分に起こった出来事に関しては、人は自分の内定的要因だとは考えずに外的要因が原因と考える傾向があります。

これを行為者・観察者バイアスと呼びます。

内的バイアスと行為者・観察者バイアス

同じ行動でも内的バイアスと行為者・観察者バイアスでは正反対の考え方になります。

たとえば、電車の優先席に若者が座っているのを見ると、その若者の性格を疑ってしまう人がほとんどですが、女性であれば妊娠の可能性もあり、男性でも障害を持っているかもしれません。

しかし、自分が優先席に座っている場合は、自分に思いやりがないとは考えずに疲れているといった外的要因を考えて自分を納得させる人がほとんどです。

同じ優先席に座るという行動でも、前者は内的バイアスで後者は行為者・観察者バイアスが働いています。

公正世界仮説と内的バイアス

公正世界仮説は、悪い人には悪いことが起こり、良い人には良いことが起こるという考え方です。

人間の行いには公正な結果が返ってくるので、結果が正しくなければ原因はその人にあるという思い込みとなります。

つまり内的バイアスの根本的な原因には、この公正世界仮説の考え方があると言えます。

人の行いをその人のせいにする考え方は、犯罪被害者でさえも被害者に原因があるという批判を生み出してしまいます。

内的バイアスを防ぐには自分に置き換えて考えてみると客観的な判断をすることができます。

一度遅刻しただけでルーズな性格だと思われても仕方がないと考える人は少ないでしょう。

このように客観的な視点を持つことで、多くのバイアスは回避することが可能になります。