共依存

共依存(Co-Dependency)は、相手に依存されているという関係にとらわれることによって、依存されることに無意識のうちに自分の存在価値を見いだしてしまうことです。

さらには相手をコントロールして自分の思うとおりに操ることによって心の均衡を保とうとします。

つまり、共依存は依存する側ではなく依存される側の問題ということになります。

共依存は医療とは無関係で、看護や介護の現場から生まれた概念です。

共依存と呼ばれる前はCo-Alcoholic(アルコール依存症の家族)と呼ばれていたように、アルコール依存症患者を世話・介護する家族たちは患者自身に依存し、また患者も介護する家族に依存しているような状態が見受けられることが経験則としてあったことがはじまりです。

共依存のケース

共依存は依存症患者の家族に多く見られますが、依存症の家族だけに起こるとは限りません。たとえば、一般的な親子関係であっても、親が過度に子供にかまってしまうと子供は親がいなければ何もできない状況となります。

そのため子供に過度に依存された親も共依存となり、いわゆる「親離れ」ができなくなってしまうケースもあります。

共依存は職場の上司と部下の関係でも起こりえます。上司の指示に従っていれば安心だと考え依存してしまう部下に対して、上司も頼られることに自分の価値を見いだしてしまい、部下の自立を促さなくなる上司も共依存の関係にあると言えます。

男女関係においても共依存の関係があります。よく、だらしがない男性に尽くす女性が「あの人は私がいないとダメなの」という言葉を使いますが、これも共依存の関係と言えます。

つまり、女性は男性のことを考えて別れられないというよりも、男性に尽くしていないと自分の存在意義を失ってしまうと感じているため、別れることができないのです。

共依存になりやすい人の特徴

共依存に陥りやすい人には以下の特徴があります。

自己肯定感が低い

自己肯定感が低いと自分で自分に価値を見いだせないため、誰かに頼られることで自分に価値を見いだすようになります。子供の頃にあまり褒められなかった人や、兄弟、姉妹と比較されて育った人は自己肯定感が低くなってしまいます。

世話好きの人

世話好きの人は数多くいますが、世話好きが過剰になると相手をコントロールしようとするようになり、共依存に陥りやすくなります。
また、相手をコントロールするという意識がない場合でも、相手の世話を焼くことで自分の存在意義を感じるようであれば、共依存の可能性が高くなります。

子供の頃に心の傷を負った人

子供の頃に心の傷を負ってしまうようなことがあると、心を閉じてしまうので褒められたり認められたりすくことが少なくなります。その結果、自己肯定感が低くなって共依存に陥りやすくなります。