ラベリング効果

ラベリング効果(Labeling Effect)は、「逸脱行動」に関するラベリング理論の中で提唱された心理効果のひとつです。

社会学者のハワード・ベッカーはラベリング理論で、ある人による「逸脱行動」はその人の性格や特性によるものではなく、周囲からのラベリングによって生み出されると提唱しています。

ラベリングはいわゆる「レッテル貼り」のことで、ラベリング効果は人や特定の事象に対して意味や根拠もなく判断し、ラベル(レッテル)を貼ったことで相手を動かす、または事象に影響を及ぼす心理効果のことです。

つまり、「あなたは優しい人ですね」というラベリングをされると、言われた人もそのラベリングに沿った行動をすることが多くなり、優しいと思われる行動が増えるのがラベリング効果です。

ラベリング理論とラベリング効果

ラベリング理論は、犯罪心理学などで用いられ、犯罪者が同じ罪を何度も犯してしまうのを説明するために使われています。

たとえば、服役して罪を償ったはずの元犯罪者が、世間から「犯罪者」や「悪人」と言うレッテルを貼られることで精神的に追い詰められるとまた罪を犯してしまいます。

このように「周囲が形成したラベルによって逸脱した行動をしてしまう」ということがラベリング理論です。

一方でラベリング効果はこうしたラベリング理論に基づいて、相手の心理を動かすテクニックのことを言います。

ラベリング効果の応用

ラベリング効果にはマイナスの効果もありますが、やり方しだいでは人にやる気を出させたり、能力を十分に発揮させたりすることも可能です。

職場で上司の立場であれば、部下に対してラベリング効果を応用することで、部下に対して実力を発揮させることができます。

ラベリング効果を応用する場合は、相手の性格ではなく行動を褒めるようにします。

職場であれば、「仕事が早いね」といった言葉が有効ですが、必ず実際にそうした行動をしたときに褒めることもポイントのひとつです。

相手も早い仕事ができたと思っているときに褒めることでより効果が高くなります。

もちろんラベリング効果は第三者だけでなく自分に対しても高があります。

第三者から仕事が遅いと指摘されて落ち込んでしまうと、仕事が遅いというレッテルを貼られたままになってしまいます。

そうするとますますそれに沿った行動をしてしまうので、自分自身に自分は仕事を早くできると言い聞かせることでレッテルを上書きしましょう。

その上で早く死後をするようにすれば、それは事実となるのでラベリング効果も高くなります。