メタ認知

メタ認知(Metacognition)のメタには「高次元の」「超越した」という意味があります。

つまりメタ認知は自分が認知していることを客観的に認識することを言います。

メタ認知は、アメリカの心理学者ジョン・H・フラベルが定義した心理学用語です。

たとえば、夢を見ていることを客観的に認識した上で、その夢を見続けるのもメタ認知と言えるでしょう。

また、小説の中に作者が登場したり、主人公が小説であることを認識したりする描写のことを「メタ」と呼ぶこともあります。

心理学用語としての「認知」には、考える・感じる・記憶する・判断するなどが含まれています。

自分自身を客観的に見たうえで自分自身をコントロールして、冷静な判断や行動ができる能力をメタ認知能力と呼びます。

メタ認知能力が高い人の特徴

自分を客観的に見ることができるメタ認知能力が高い人には、次のような特徴があります。

周囲への配慮ができる

メタ認知能力が高いと、自分と周囲の人との距離感も的確に把握できます。

これは協調性にも優れている特徴なので、職場で上司の立場であれば、部下と適切な距離を保ってコミュニケーションをとることができます。

リーダーとしての適性があります。

常に冷静に対応できる

自分自身を客観的に見ることができるので、感情のコントロールがうまくできます。

トラブルにも冷静に対処することができ、仕事が立て込んでも冷静に優先順位を決めて適切な対処をすることもできます。

行動や考え方に柔軟性がある

メタ認知能力が高いと客観的に判断できますが、それは視野が広いことでもあるので、ミスをしたとしても対処方法をすぐに実行できる能力もあります。

こうした柔軟性は職場では取引先の変化にも対応でき、人間関係にも応用ができます。

仕事への意欲が高い

客観性に優れていると自分だけでなく、仕事に対しても将来性を見通すことができます。

仕事に対する自分の欠点も客観的に判断できるので、それに対しての対処も的確にできます。

そのため、自信を持って仕事に臨めるので意欲やモチベーションも維持できます。

メタ認知能力を高める方法

自分を客観的に見るにはセルフモニタリングという方法が必要になります。

メタ認知能力を高めるには、まず自分の欠点や弱点を的確に把握して、目をそらしたり逃げたりしないことが必要です。

セルフモニタリングは自分の無意識の行動や考え方を観察し、課題や欠点をあぶり出す方法です。簡単なセルフモニタリングの例を紹介します。

  • 事実:会社には遅刻しないが、いつも出社時間がギリギリになっている
  • 課題・問題点:余裕がないので業務に支障が出る
  • 解決法:朝早く起床する
  • コントロール:目覚まし時計を複数使う、早く就寝する、眠りを深くする工夫をする

セルフモニタリングで重要なのは最後のコントロールです。

コントロールはひとつではないので、課題によって自分に合っているコントロール方法を見つけ出すことが重要です。

こうしてセルフモニタリングとコントロールで、自分の課題を解決していくことでメタ認知能力を鍛えることできるようになります。