エコーチェンバー現象

エコーチェンバー(Echo chamber)現象は、閉鎖的な空間にあるコミュニティでは、同じようなコミュニケーションが繰り返され、その空間以外から見ると非常識な考え方であっても、そのコミュニティでは事実になってしまう現象をいいます。

SNSは同じ趣味や同じ考えの人が集まってコミュニケーションが取れるサービスですが、SNSも一種の閉鎖空間となり得るのでエコーチェンバー現象が起こりやすくなります。

そもそもエコーチェンバーは完全に閉鎖された音響空間のことで、自分の声があらゆる方向から残響を伴って増幅されるよう設計された空間です。

自分の声だけしか聞こえないシステムなので、同じように自分と異なる意見を排除した空間でのコミュニケーションのことをエコーチェンバーと呼ぶようになりました。

エコーチェンバー現象の問題点

同じ趣味や嗜好を持つ人同士が集まってコミュニケーションをすること自体は何の問題もありません。

世間では一般的に嫌われている「は虫類」をペットにしている人が集まって、情報交換やコミュニケーションをするのは、当人にとっては心地よい空間であることは間違いないでしょう。

変人扱いされることもなく時間を過ごすことができます。

しかし、そのコミュニティだけに依存してしまうと、たとえば、「人間に有害な、は虫類もペットとして認めるべきだ」といった意見が普通になってしまう可能性があります。

このように世間の常識から考えると犯罪に近いようなことも当たり前として通用してしまうコミュニティを作ってしまうことが、エコーチェンバー現象の怖いところです。

エコーチェンバー現象の事例

2016年のアメリカ大統領選挙で法的候補と呼ばれたトランプ大統領が任命されたときには驚いた人も多いでしょう。

この選挙ではネット上に様々な政治的コミュニティが誕生し、エコーチェンバー現象を引き起こしたといわれています。

つまりエコーチェンバー現象によって一国の大統領の選挙でさえ左右されてしまったことになります。

また、エコーチェンバー現象によって殺人事件にまで発展した例もあります。

「子供を誘拐した犯人がいる」というデマがメッセージアプリで拡散されました。

デマを信じた人が現地に集まり、無関係な人を襲撃して殺してしまったという事件です。

このようにエコーチェンバー現象は現実社会に大きな影響を及ぼすことがわかります。