選択的注意

選択的注意(Selective Attention)は、多種多様な情報が提供される環境において、その個人にとって重要だと認識された情報だけを選択し、その情報に注意を向ける認知機能です。

代表的な例としてはカクテルパーティー効果があります。

カクテルパーティーなどのような会話が飛び交う騒がしい環境でも、自分たちの会話に夢中であればさほど周囲の騒がしさは気になりません。

さらにその喧噪の仲でも自分の名前を誰かが言えばそのことにすぐ気付くこともできます。

このカクテルパーティー効果も選択的注意のひとつになります。

選択的注意の実験

選択的注意の実験としては下記の実験が有名です。

被験者に対して左右の耳に同時に違う内容の文章を聞かせます。

事前に片方の耳を指定すると、指定された耳から聞こえた内容は復唱できますが、反対の耳の内容は復唱できませんでした。

その次に今度は復唱できなかった耳から聞こえる内容を文章ではなく、「ピー」という機械音を流します。

すると機械音が流れていることを認識していることはハッキリしました。

つまり、意識していない方の耳からも音は聞こえていますが、文章の場合は内容が聞き取れていないことがわかります。

選択的注意の理論

実験の結果から選択的注意には「記憶のフィルターモデル」という理論が提唱されています。

  • 情報は感覚受容器(視覚、聴覚など)から、短期あるいは長期記憶の貯蔵庫に移行する
  • すべての情報に対して低レベルの情報処理が行われる(物理的特徴の処理など)
  • 高次の情報処理(意味や内容の処理)フィルターを通過した情報のみ対して行われる
  • フィルターは受容器と記憶の貯蔵庫の間にあるので、フィルターを通過した情報だけが記憶される

上記が記憶のフィルターモデルの概要ですが、この理論では説明できなこともあり確立された理論ではありません。