スリーセット理論

スリーセット理論(Three Set Theory)は、人に対する印象は3回目で固定されるという理論です。

イギリスのセントアンドリュー大学の研究で導き出されたと言われています。

スリーセット理論の実験

セントアンドリュー大学の実験では女性を被験者として、特定の男性と3回接触してもらい、その男性に対する印象の変化を調べています。

男性は意図的に以下の態度をとりました。

  1. わざと女性に嫌われるような態度をとる
  2. 過去の経験(辛い経験)を話し、人と接するのが苦手だと女性に告げる
  3. 女性に非常に優しい態度をとり、1回目の態度を謝罪する

実験の結果はおよそ9割の女性が男性に対して好印象を持ち、第一印象を覆しました。

対人関係では第一印象が重要だと言われますが、第一印象で失敗したとしても取り返すことは十分に可能だという結果になっています。

スリーセット理論のメカニズム

スリーセット理論ではそれぞれの接触で次のメカニズムが発生します。

  1. 第一印象
  2. 再確認
  3. 固定化

第一印象

第一印象では2つの心理効果が重要となります。

一つ目は「初頭効果」と呼ばれていて、最初の印象が記憶に残りやすいという効果のことです。

しかも、その印象は長続きするので、対人関係では第一印象が大事だというのは心理学的にも証明されています。

2つめは「メラビアンの法則」です。

「メラビアンの法則」は話し手が聞き手に与える影響を3つにわけて、どの要素の影響力が高いかを数値化した法則です。3つの要素と割合は以下のとおりです。

  1. 視覚情報55%
  2. 聴覚情報38%
  3. 言語情報7%

上記の割合から考えると初対面で相手が何を言ったのかという情報よりも、見た目や声の情報が重要だということがわかります。

メラビアンの法則を解説する例としては、「笑いながら怒る」というたとえがよく使われます。

もし笑いながら怒っている人がいたとしても、その人が何を怒っているのかよりも笑っていたという情報が優先されて、それが第一印象として長く残ります。

つまり怒っていた人という印象ではなく、笑っていた人というイメージが残るのです。

再確認

第一印象で失敗してしまった場合でも、2回目の接触で取り返すことができます。

このときに利用できる心理効果が「ゲイン・ロス効果」です。

ゲイン・ロス効果はいわゆるギャップによって最初の印象が変わる効果のことです。

よくたとえられるのが、不良がおばあさんの荷物を持ってあげると、印象が極端によくなるというものです。

マイナスからプラスの効果に転じることをゲイン効果と言います。

これを利用すれば、第一印象のイメージを変えることが可能です。

固定化

3回目も2回目と同じ印象を与えると、その印象は固定されます。

第一印象でダサい格好をしていっても、2回目でおしゃれをしていけば、印象を変えることができます。

3回目もおしゃれをすることでその印象は固定化され、多少ダサい格好をしてもそんなおしゃれの仕方もあるんだと捉えられます。

ダサいという印象が固定化されてしまうとたまにおしゃれをしても、ダサいのに無理しておしゃれをしようとしているという見方をされてしまいます。