サンクコスト効果

サンクコスト効果(Sunk Cost Effect)は、コンコルド効果やコンコルドの誤謬(ごびゅう)、埋没費用効果などとも呼ばれています。

初期費用を多額にかけた大規模プロジェクトが失敗し、採算が取れないことが確定してからも、なかなか事業を中止できない状態がサンクコスト効果です。

コンコルドという航空機事業は多額の費用をかけて開発した音速旅客機が事業のメインですが、費用をかけすぎたため事業を続けるほど赤字になるという状況に陥りました。

しかし、それまでかけた費用を無駄にしたくないという考えで、いつまでも赤字事業を続けてしまったことから、コンコルド効果という名称があります。

サンクコスト効果の代表的な事例と言えます。

サンクコスト効果の例

コンコルド事業だけでなくサンクコスト効果の例はたくさんあります。

たとえば、アメリカのゼネラルモータースが衰退したのは、過去に効果があった戦略に固執してたためと言われています。

過去にかかったコストだけでなく過去の成功例を時代に合わせて変更せず、固執することもサンクコスト効果を引き起こす原因となります。

こうした事業だけでなくアメリカの軍事戦略にもサンクコスト効果が発生しています。

ベトナム戦争やイラク戦争が長引いてしまったのも、勝利にこだわったことがサンクコスト効果を引き起こしたと考えられます。

サンクコスト効果の日常での例

サンクコスト効果は何も巨大プロジェクトだけで発生するわけではありません。

日常生活でも様々な場面で発生しています。

たとえば、近所の書店へ楽しみにしていた本を買いに行ったところ休業日でした。

そこで仕方なく遠くの書店まで出かけて目的の書籍を購入しました。

ところが、その本を読み始めたところ思っていた内容と違う上に、とてもつまらない内容ということに気が付きます。

本を購入するのにかかった時間とお金を考えて、最後まで読んでしまうことはサンクコスト効果と言うことができます。

本来であれば、役に立たない本だと判断した時点で読むのをやめて、それ以上時間を費やさないようにする方が合理的です。

他にもラーメンを食べるために行列に並んだら思ったよりも時間がかかってしまい、いつになったら食べられるかわからないことがあります。

しかし、それまでにかかった時間がもったいないと感じて行列から抜け出せないのもサンクコスト効果です。

サンクコスト効果に陥らない方法

サンクコスト効果を防ぐ方法としては「行動するときは過去にかけた費用や時間を考慮しない」ということを徹底することです。

そうすると、これからする行動が合理的かどうかと言うことだけで判断することができます。

購入した書籍にかかった時間や費用をまったく考えなければ、その書籍を読んだ方がいいか読まない方がいいかという2択で判断することができます。

また同じコストでも埋没してしまったサンクコストよりも「機会費用」について考えましょう。

サンクコストはもう取り戻すことができない費用です。

その費用を惜しんで逃してしまった機会のことを機会費用と呼びます。

書籍の例で言えば、面白くない書籍を読んだことで友人や家族との楽しい時間を逃したり、もっとためになる本を読めたりすることが機会費用です。

取り戻せない費用を考えるよりも、建設的に機会費用のことを考えることでサンクコスト効果は防ぐことができます。

それでも防ぐことができない場合は、自分だけで考えずに家族や友人といった第三者の意見を聞いてみましょう。

当事者では客観的な判断が難しいのであれば、第三者からアドバイスをもらうのが得策です。