スパイト行動

スパイト行動(Spiteful Behavior)のspitefulは「意地悪な」という意味で、自分が損をしても相手に損をさせようとする(足を引っ張る)行動のことを言います。

スパイト行動は特に日本人によく見られる行動でだといわれています。

その根拠として公共財供給の理論を構築するための実験が挙げられます。

スパイト行動の実験

筑波大学と都立大学、アメリカでは南カルフォルニア大字とパーデュー大学でほぼ同時に実施された実験では、公共財供給ゲームを行っています。

対戦相手と自分で投資をした場合に一定の見返りが発生するゲームですが、わかりやすく省略化したゲームが以下のサンプルです。

  • あなたと相手は10ドルずつ持っている。
  • 10ドルの中から投資した金額の合計×70%が、自分が投資しなくてもお互いにもらえる
  • お互いに投資をしなければ、お互いに手元に10ドル残る
  • どちらも全額投資すれば、20ドル×70%でお互い14ドル残る
  • どちらかだけ10ドル投資すると投資した人は元手がなくなるので7ドルに減る。投資しなかった人は元手と合わせて17ドル残る

上記のゲームを投資額を自由にして複雑にしたのが、実験で行われたゲームとなります。

このゲームでは投資しなかった人の方が儲かるというケース(フリーライディング)が存在します。

日本では自分が損をしてもそうしたフリーライディングを阻止するスパイト行動が見られましたが、アメリカでは相手が儲かるかどうかよりも、自分の利益を重視して最大の利益を生むことを考えて行動しました。

つまり「出る杭は打たれる」という考え方をするのは日本以外ではあまりない発想なのです。

スパイト行動が生じる心理

日本人にスパイト行動が多いのは、協調性を重視しているからと考えられます。

日本では協調性を大事にする教育を行っていますが、それ自体には問題はありません。

しかし、その協調性が行きすぎてしまうと「出る杭は打たれる」「空気を読む」といった没個性を生み出す雰囲気を作ってしまいます。

欧米では基本的に自分を中心に考えますが、日本は反対に相手のことを考えてしまう傾向があります。

相手を思いやるという意味もありますが、自分が損をしているときは相手も損をしないといけないという考えにも結びつきます。

協調性にはよい点も多くありますが、ひとつ間違えると相手を落とす行為にもつながりスパイト行動が発生します。