ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック(Door-in-the-face Technique)は行動心理学を応用した用語で、最初に断られる可能性が高い要求を突きつけて、次に本命の要求を言うことで要求が通りやすくなる交渉テクニックです。

ドア・イン・ザ・フェイスは顔の目の前でドアを閉めるという意味で、「shut the door in the face(門前払いする)」が由来となっています。

最初に門前払いされるような過大な要求をするので、すぐに拒否されるという意味で名付けられました。

このドア・イン・ザ・フェイス・テクニックには心理学の要素が背景にあります。

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックに含まれる心理学

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックは譲歩的依頼法とも呼ばれていますが、この手法では心理学の「返報性の原理」が応用されています。

返報性の法則は簡単に言えば、「何かをしてもらったらお返しをしなくてはいけない気持ち」になることです。

ただし必ずしも善意だけでなく悪意に対しても返報性の法則は適用されます。

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックでは、わざと大きな要求をして一度相手に拒否をさせますが、その後に譲歩することで相手に借りを作ったと思わせます。

つまり、譲歩してもらったのだからこちらも譲歩しなくてはいけないという気持ちを起こさせるのです。

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックの応用

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックは主にビジネスシーンでの応用が効果的です。

交渉術のひとつなのでセールスや営業での見積もりなど、ビジネスでは応用できる場面が多くなります。

たとえば20万円のサービスや商品の受注が目的の場合、機能やサービスを多く付けて30万円の見積もりを出します。

相手の予算をオーバーするのがわかってあえて高額で提示するのです。

当然相手はとても無理だという結論になるので、そこで特別に機能を絞って20万円に抑えたプランとして提示します。

ここで返報性の法則が働き、ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックが成立して交渉もうまくいきます。

ただし交渉では以下の点に注意する必要があります。

最初の要求を高くしすぎない

最初にあまりに法外な要求をしてしまうと相手に不信感を抱かれることになります。

あくまでも交渉には信頼関係が必要なことを忘れず、本命の要求からかけ離れないことが重要です。

次の要求はすぐに行う

最初の要求から本命の要求まで時間がかかりすぎると、ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックの肝である罪悪感を相手に与えることができません。

なるべく間を空けずに本命の提案をしましょう。

同じ相手には一度だけ

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックは同じ相手には一度だけで、ここぞと言うときに使用するのが肝要です。

何度も使ってしまうと最初の要求がブラフであることが相手にバレてしまうからです。