振り子の法則

振り子の法則(Pendulum Law)は、物理学にもある法則ですが、心理学でも「不快」のレベルが高い相手ほど、何かのきっかけで高いレベルの「快」へと振れるという法則があります。

振り子は右に大きく振れるほど次は反対側に大きく振れるようなしくみとなっています。
同じように人の感情も大きな「不快」があるとそれから離れようとして、大きな「快」に触れてしまうのが振り子の法則です。

たとえば、スポーツではつらい練習を積み重ねた後に、大きな大会で優勝できると喜びも大きくなるのも振り子の法則に当てはまります。

振り子の法則と脳の働き

人の脳は未知のものや危険なものに対して不快感を覚えて、そこから離れようとしたり嫌いになったりするような行動をします。

町中で急に獰猛な動物を見かけたとしたら、ほとんどの人が逃げ出すのはこの脳のしくみがあるからです。

これらの感情を司っているのは脳の「扁桃核」という部分です。

つまり感情を持つことは生命の危険を察知する上では重要なことになります。

感情は扁桃核を刺激する物質によってもたらされますが、物質の量が多ければ刺激が強くなるしくみです。

つまり、大嫌いと大好きは同じ刺激の強さですが、刺激する物質が違っていることになります。

振り子の法則では同じ強い刺激が物質の種類が変わったことによって、正反対の感情を抱いたと考えることができます。

つまり物質をコントロールできれば、自分や他人の感情を大きく変えることはまったく不可能なことではありません。

振り子の法則のビジネス応用

ビジネスの世界で物やサービスを売るということは、その商品やサービスで得られる「快」を提供すると言い換えることができます。

つまり商品を売るためにはその「快」が顧客にとって大きいものでなければいけませんが、ただメリットだけを並べ立ててもなかなか購入には結びつかないのが普通です。

そこで「快」だけではなく「不快」も利用することで、振り子の法則が応用できます。

たとえば血圧を下げるのに効果がある健康食品を売りたいのであれば、血圧が高い場合に起きる可能性がある症状や病気などの情報も提供します。

つまり「不快」を提供することでそれを避けるための「快」を求めるようにします。

ただし、効果がほとんどない商品に対してこの手法を使うと、法律違反にもなりかねないので注意が必要です。