楽観バイアス

楽観バイアスは認知バイアスのひとつで、物事を自分自身に都合よく解釈してしまうバイアスのことです。

ノーベル賞経済学賞を受賞した認知心理学者ダニエル・カーネマンは、楽観バイアスがかかる現象を「計画錯誤」という言葉で表現しています。

計画錯誤は「時間や予算など計画完遂に必要な資源を常に過小評価し、遂行の容易さを過大評価する傾向」で、人間の思考の非合理性ゆえに生じてしまう予測エラーです。

カーネマンの計画錯誤

カーネマンはこの計画錯誤を自分自身で体験しています。カーネマンは教科書の執筆をすることになりチームを組んで執筆をはじめました。

1年で全体の2章までを完成させたときに、チームメンバーに完成までの期間の予想を立てさせました。

1年半から2年半で完成するという予想となりましたが、実際には8年かかったということです。

滑り出しがスムーズだったため、メンバーは楽観バイアスにかかってしまい、計画錯誤を引き起こしたのです。

このチームにはエキスパートチームがいましたが、そのチームの予想も完成まで2年半でした。

しかし、エキスパートチームに他の教科書執筆チームの完成予定を予測させたところ、7年以内には不可能との回答をしています。

つまり客観的に判断すると正しい予測ができても、自分自身が関わって内部にいる場合には客観的な判断ができなくなってしまうのです。