前提挿入

前提挿入(Premise Insertion)は、心理学を応用した話法のひとつで、前提となる情報を組み込んだ状態から会話をはじめる話法です。

わかりやすい例としては、来客時に「コーヒーにしますか、紅茶にしますか?」と尋ねることです。

これは、コーヒーか紅茶を飲むことを前提とした質問になります。

前提挿入を利用すると会話の中でさりげなく自分の要望、希望を伝えることができます。

コーヒーと紅茶の例で言えば「上司が来るまで少し時間がかかるので、飲み物でも飲んでゆっくりしていて下さい」という意図を伝えることができます。

前提挿入の具体的テクニック

前提挿入を行う場合の具体的なテクニックがあります。

ダブルバインド

ダブルバインドは選択肢を提示して前提を挿入する方法です。

その選択肢はイエス、ノーではなくどちらを選んでも自分に都合がいい質問です。

たとえば、営業で使う場合は購入を前提として、
「AとBではどちらの色がお好みですか?」
「お支払いはクレジットカードと現金どちらのご予定ですか?」
などと言うことで購入を前提とした前提挿入となります。

しかし、売買契約を強要する為に前提挿入をするわけではありません。

ダブルバインドの目的は具体的に質問することで購入したときのイメージを具体的に感じてもらうことです。

商品を使用しているイメージを数多く与えることで売買の成立の確率を高くします。

時間をずらす

時間をずらした会話をすることでも前提挿入の効果を高めることができます。

わかりやすいのは生命保険でよく使われるキャッチコピー「あなたに何かあったとき、ご家族は生活できますか?」です。

これは、未来に何かあることを前提にした前提挿入です。

しかもその未来は誰にも否定できないものなのでより効果が高くなります。

知っていることを前提にする

ビジネスの会話ではよく使われる言い回しの「ご存じのとおり」「お気づきですか?」などは、これらの言葉の前に言ったことを前提に変えてしまいます。

たとえば、「今このデザインが流行しているのはご存じのとおりです。

ですのでお早めにご決断しませんと売り切れる可能性がございます」といった使い方をします。

この場合は商品の良さを伝えるために使うと効果的です。