打ち消し

打ち消しとは

打ち消しとは、不安や罪悪感を生じさせた行為を打ち消したり、反対の行為をとって無効にしようとすることです。

具体的には子どもを怒ってしまったことに罪悪感を感じ、子どもの大好物を用意したり優しく接する、悪口を言った相手を褒めたり優しく振舞ったりするなどがあります。

本家記事にGO/打ち消しhttps://setsinrigaku.com/33.html

打ち消しの例

打ち消しには以下のような例があります。

・大きな買い物のあと衝動的に必要のないものまで購入してしまう
散財感や家族に対する罪悪感がある場合、さらに多くのものを購入して不安を分散しようとするのも打ち消しの働き。

・浮気をした夫が罪悪感から妻に普段より優しく振る舞う 優しく接するのは罪の意識を打ち消そうとするため。

・好きでもない人との性行為を忘れるために複数の相手と関係を持つ
不安や葛藤をやり直そうとすることで解消しようとする。

フロイトの打ち消し概念の発展

フロイトは、1909年の「ある強迫神経症の症例に関するノート」の中で、「打ち消し」という行為について初めて説明しています。

彼はここで、彼の患者(「ねずみ男」)が、女性の馬車がその上に横転した場合に備えて、まず道路から石を取り除き、その後「戻って道路の真ん中の元の位置に石を置き換える義務があると感じた」ことを説明しました。

フロイトは、彼が「彼女の馬車がぶつかるかもしれない場所に石を置き換えることによって、この愛の行為を打ち消したことは、最初の部分を生み出した動機とは逆の動機によって決定された」と主張し、愛ではなく憎しみによるものだとしました。

それはいわば否定的な魔法であり、象徴によってある出来事(あるいは経験や印象)の結果だけでなく、その出来事そのものを吹き飛ばそうとするものである」。

そしてフロイトは、「なされたことを"打ち消し"、(中略)防衛という古い概念を再び導入する十分な根拠として、同じ目的、すなわち本能的要求に対する自我の保護というプロセスをすべてカバーできる」ことを、彼の晩年の大きな技術進歩のひとつに挙げたのでした。

打ち消しの意味

打ち消しは、魔法のような「全能のコントロール力」が発達した防御と見ることができます。

つまり、無意識のうちに、自分がすでにやったことを「ごまかす」「元に戻す」ための全能の力があると思い込んでいるのです。

これは迷信的な行為とも関連することがあります。

実は、宗教的な儀式には、この防御の無力化という側面があるのです。

人々は、祈ることによって自分の悪い面が存在しないように「装う」ことができ、その結果、罪悪感や恥から解放されると考える傾向があるようです。

実際、神社仏閣に参拝した後の気分転換には、中和が効果的です。

また、子どもが「歩道のタイルの間にある縁石を踏まずに家に帰れたら、お母さんに悪いことが起こらない」という遊びをすることがありますが、これも中和の一種と言えます。

つまり、子どもは無意識のうちに母親が死ねばいいと思い、その罪悪感を解消するためのゲームととらえているのです。

このように、人が敵意を抱く危険性は、その人の感情や思考と実際の行動を同一視する普遍主義的なファンタジーに基づいている可能性があるのです。

現実であれ想像であれ、過去の過ちや失敗に対して自分を激しく責める傾向がある人は、残りの人生において相殺的な防衛活動に従事する可能性があります。

ある研究では、死刑廃止のために何年も熱心に活動する人は、逆張り的な特徴を示すことが示唆されています。

また、幼少期に愛する人を人種差別の苦しみから救えなかった経験から、人種差別を根絶するための活動を生涯続けているケースもあります。

「自分の犯した罪の恥や罪悪感を中和し、打ち消すような活動をする」というのは、防衛的な中和ですが、こうしてみると、崇高な目的のための無意識の動機となり得ることがわかります。

関連心理学用語

防衛機制

防衛機制とは、基本的には、自我の保護マントを危険にさらす自己批判につながる可能性のある無意識の要素との遭遇を回避しようとする方法。